バラの栽培を始めたのは、夏に挿し木した苗が発根してからです。それまで開花株を買ってきても、花が終わった後うまく育てられませんでした。
そこで、知人の庭にある虫もつかず丈夫で病気に強いバラの枝を貰って、5月に挿し木しました。その挿し木した苗も徐々に育っています。
こうなると、ちょっと欲が出てきます。
「バラは接ぎ木もできるみたいだから、挑戦してみたい!」
そこで再び知人にお願いして、同じバラを貰って接ぎ木をしたので、その経過をまとめてみました。
もくじ
初めてバラの接ぎ木をしました(動画あり)
接ぎ木をしたいと漠然と思っていましたが、接ぎ木とは何でしょう。接ぎ木をすること自体初めてなので、先ずはそこから調べてみました。
接ぎ木とは
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると
2個以上の植物体を、人為的に作った切断面で接着して、1つの個体とすること。
目的とする植物の枝から根を出させるのではなく、別の植物の根の上に目的の植物の枝をつなぐこと。
つまり別の植物と癒合して、その根を利用して成長させる方法のようです。これなら、挿し木のように自ら発根する必要がないので、切断面の接着が成功したら、成長は速いかも知れません。
接ぎ木の方法
次に接ぎ木の方法を調べてみました。
バラの場合、接ぎ木の土台にするのはノイバラの木。
※ 接ぎ木では、ノイバラのように土台になる木を台木と呼び、バラなどの接ぎ木したい方の木を穂木と呼ぶようです。
接ぎ木には色々種類があるようですが、今回行うのは切り接ぎという方法です。
ネットで調べてみると、切り接ぎを行うときには、台木をノイバラの芽を残さないよう低い位置で切り取り、接ぎ木することが多いようです。
これに対してノイバラの芽を残したまま接ぎ木する方法も紹介されていました。こちらは、ノイバラの芽を残すことで活着が促され初心者向きのようです。
方法が2つあるなら、両方試してみたくなります。そこで今回は、バラの接ぎ木に適した2月に2つの方法で、接ぎ木をしてみました。
バラの接ぎ木に挑戦
【準備するもの】
* ノイバラの苗
ノイバラは、庭の隅に自生していたものを抜き取り、鉢に入るサイズに根はカット。接ぎ木する部分は皮を剥がし、キレイに洗っておきます。
<ノイバラの花>
* 接ぎ木したいバラの枝
前年に伸びたバラの枝 小指より細いぐらいのもの。
* 鉢と赤玉土
同じ鉢がなかったので、5号の駄温鉢とスリット鉢を用意。
* 接ぎ木テープ
ニューメデールという接ぎ木テープを使うと活着が良く、接ぎ木後も自然に劣化していくので管理も楽という情報を得ました。ネットでしか買えないのかと思ったら、ホームセンターで売っていたので早速購入。 800円ぐらいでした。
* 剪定バサミとカッターナイフ
カッターナイフは刃を替えて、清潔なものを用意。
バラの接ぎ木方法(動画)
さあ、それでは接ぎ木をしましょう。
バラの接ぎ木は、冬から早春が適期のようです。ノイバラが休眠から覚める頃を見計らって行うんですね。
ノイバラの幹の形成層とバラの枝の形成層を隙間なくぴったりと合わせて、シッカリ固定するのが大切なようです。
ところで形成層とは何でしょう。聞き慣れない言葉なので、調べてみました。
若い枝を輪切りにすると、真ん中の白っぽく見える木質部と呼ばれる部分の外側に、ちょっと緑がかった部分があります。形成層はこの辺りにあります。
形成層とは、茎や根が肥大し、成長のもととなる分裂組織で、新しい細胞をつくり出している場所なんです。
接ぎ木のやり方は、細かい部分が多くて文章では説明しにくいので動画を撮りました。三角マーク▶︎をクリックすると再生するので、見て下さい。
バラの接ぎ木後の管理と鉢上げ
バラの接ぎ木後の管理
2月中旬無事接ぎ木をした苗は、保温のため発砲スチロールの箱の中に入れ、屋内の窓辺に置き管理。
最初のうちは日があまり当たらないように気をつけ、水やりは一週間に一度行います。
二週間経った頃少し日が当たるように、調整のため掛けていた布を外しました。
3月上旬、グルグル巻きしたバラの枝から、テープを突き破って小さな芽が出ているのを見つけました。
<よく見ると 小さな芽が出ている2つの接ぎ木苗>
「よかった。生きてる!」
両方の鉢共に芽が出始めたので、日が当たるようにしてあげます。
3月中旬には、芽が伸び始めました。
3月下旬には、葉も開き始めました。
右側の鉢では、ノイバラの芽がたくさん出てきたので、2つだけ残して他のノイバラの芽は摘みました。
もう少し気温が上がれば、外に出せそうです。
バラの接ぎ木苗の鉢上げ
4月になって、外に出した接ぎ木苗の葉はシッカリと開いています。
いよいよ鉢上げです。
【準備したもの】
* 6号スリット鉢 2つ
* 園芸用土にパーライトを混ぜたもの
* 鉢底石
ノイバラを切って接ぎ木した苗は、そのまま植え替えます。
ノイバラを切らずに接ぎ木した苗(右側の鉢)は、ノイバラの葉とバラの葉が両方出ている状態です。バラの葉がシッカリ開いているので、ここでノイバラは芽を残さないように低い位置で切り取り、バラだけを残します。
ノイバラの幹が太くて硬いので、ハサミだけでは切れません。
そこでノコギリで切り込みを入れた後、ハサミを使いました。ノコギリで切る時は、幹を押さえていても動いてしまうので、根を傷めるのではないかとヒヤヒヤ。何とか切り取れた時は、ホッとしました。
<ノコギリで切れ目を入れた後 ハサミで切り取っているノイバラの幹>
鉢に鉢底石と土を入れて置きます。
鉢から苗を取り出し、鉢の赤玉土も土と混ぜ合わせて、2つの苗をスリット6号鉢に植えました。
植え替えたバラは、タップリと水遣りして、1週間ぐらい半日陰で管理。根が落ち着いた頃日向に出しました。
初めてのバラの接ぎ木まとめ
接ぎ木は初めての挑戦でした。バラの接ぎ木は、芽の向きや切る方向、角度などを考え、組み木細工のように二つの植物の形成層をぴったりと合わせる必要があります。
形成層と言われても、分かるような分からないような。見よう見まねで切って形成層を合わせ、シッカリと接ぎ木テープを巻くまでが、細かく神経を使う行程でした。
でもその後の管理は、一週間に一度水やりするくらいで手がかかりませんでした。
20日経った頃芽吹き、その後は1日1日大きくなっていくのを眺めるのが楽しくなりました。ノイバラの根があるので、挿し木に比べて本当に成長が早かったですね。
初めての接ぎ木が上手くいったのは、幸運でした。これも、ノイバラの生命力と接ぎ木テープのおかげだと思っています。
<お世話になった接ぎ木テープ>
バラの育て方は今勉強中ですが、先日バラづくり講習会で植物園のバラ担当方から
『バラは土が乾くことと濡れることを繰り返すことで、大きく育つ』
と教えてもらいました。
今回の植え付けでは、園芸用土を使いましたが、市販の花の土は水もちが良すぎるとのこと。自分で配合した方がいいみたいです。配合が面倒な時は、やっぱりバラ専用土ですかね。
紹介してもらった用土の割合
赤玉土(7~8)と腐葉土(2~3)を混ぜたもの(ヒュウガ土を混ぜると水はけがよくなる)
バラの鉢植えの土も、常に湿っているのは良くないようです。真夏は毎日水やりが必要ですが、その他の季節は表面の土の状態を確認しながら水やりすることにします。
春からいよいよ成長の時期になりますが、バラとの付き合いはこれからが本番。虫もつかず丈夫なバラを接ぎ木した苗です。元気に育って、とびっきりの花を見せて欲しいものです。
バラの接ぎ木の続きは、初めてのバラの接ぎ木から約1年 冬剪定までの経過をご覧ください。