12月になると、ちょっと街を歩いただけでも、ピラカンサス、ナンテン、クロガネモチなど赤い実のついた木をよく見かけます。
その赤い実がなる植物の中で、『両』の名前が付くお正月に重宝される目出度い植物といえば、万両、千両、百両、十両、一両と言われる植物でしょう。
縁起が良いからと、昔から人気があった植物らしいのですが、百両や十両、一両はさすがに知りませんでした。
それでも万両は庭に生えていたので、他の縁起の良い植物も庭に植えたくて、千両と十両を植えてみました。
お正月に重宝され、赤い実がつく点は共通していますが、それぞれ違いがあるので庭での様子と見分け方をまとめてみます。
もくじ
万両 千両 十両の特徴
万両(マンリョウ)
特徴
- ヤブコウジ(サクラソウ)科の常緑低木。
- 関東から西の地域に自生する。
- 樹高は1m以内。
- 夏に小さい白い花をつける。
- 幹は根元で枝分かれせずまっすぐに伸び、先端で小枝を出す。
- 実は枝にぶら下がるように下向きに付き、晩秋から冬に色づく。
千両(センリョウ)
特徴
- センリョウ科の常緑小低木。
- 南関東から西の地域に自生する。
- 樹高は、50~100cm。
- 夏に黄緑色のごく小さい目立たない花をつける。
- 葉の上に付いた実は、10月頃から色づく。
十両(ジュウリョウ)
特徴
- 別名ヤブコウジ
- ヤブコウジ科の常緑小低木。
- 日本に自生する。
- 樹高は10~30cm。
- 花期は7~8月。2~5個の花を下向きに付ける。
- 実は10~11月に赤く色づく。
万両 千両 十両の見分け方
万両、千両、十両のそれぞれの特徴を書きましたが、見分けに関しては、まだ分かったような分からないような感じです。
そこでもう一度まとめてみました。
何 科 の 植物 ?
万両と十両は、ヤブコウジ科。千両はセンリョウ科の植物。
万両と千両は違う科の植物なんですね。
樹 高
万両 ~100cm
千両 50~100cm
十両 10~30cm
樹高を見ると、十両は他の2つと比べ明らかに小さいのがよくわかります。
幹 と 枝ぶり
万両 幹は根元で枝分かれせずまっすぐに伸び、先端で小枝を出す。
千両 株立ち状に広がる。枝は雨などで倒れやすい。
十両 草のような小低木。地下茎から細い茎が立ち上がっている。
葉 の 形
<左から万両、千両、十両>
万両 葉は互生につき、cmぐらい。濃い緑色で縁が波打つ。
千両 葉は対生につき、10cmぐらいの楕円形。
万両より緑色が明るく縁にギザギザがある。
十両 3~4個の葉が輪生する。
実 の つき方
<左から万両、千両、十両>
万両 ぶら下がった赤い実が、葉っぱの下に隠れるようにいっぱい付く。
千両 葉っぱの上に赤い実がかたまって付く。
十両 1~2個の実を下向きに付ける。木自体が小さいので、近づいて見ないとわかりにくい。
さあ、樹高や枝葉そして実のつき方を見てきました。
十両の見分けは、その大きさから簡単にできそうです。
また千両と万両の見分けは、実のつき方の違いが一番わかりやすいですね。さらに幹や葉のつき方などを加味すると、もっと確実に見分けることができるでしょう。
庭での様子
万 両
12月に入り、万両の実が真っ赤になりました。千両の実が赤くなってから、約一ヶ月。これで万両、千両、十両の赤い実が揃いました。
実は葉っぱの下にぶら下がっていますが、赤くなるとたくさん付いているので結構目立ちます。
この万両は、いつの間にか庭にあったという感じで全くの放任。鳥が食べた後の種を落とすのか、庭のあちこちで芽吹いてきますが、よっぽど邪魔にならない限り、抜きません。
芽が出て育ったのを見ると、日陰よりも日向の方が実付きが良いようです。植え込みのちょっと陰になる場所で育つことが多いですが、日向でも育っています。
<実付きが少ない日陰の万両>
幹がまっすぐピンと伸びて、先端部にだけ葉っぱと実が集中して、頭が重くないのかな。幹は先端の重みを支えられるだけあって、しっかりしています。
自然任せの景色も面白いし、お正月の切り花にするのも、いいですね。
千 両
苗をオガタマノキの足元に植えて10年以上経ち、株も大きくなりました。
それでも、実がしっかり付いて切り花にも使えるようになったのは、5年ぐらい前からです。斑入り葉と普通のものを混植したのが、良かったのかもしれません。
11月初めには、実が赤く色付きます。そのままにしておくと、すぐ鳥たちに食べられてしまうので、毎年ネットを掛けて食べられないようにしています。
鳥たちは、同じ赤い実でも万両より千両の実を先に食べてしまいます。
美味しいからなのか、千両の実が上向きに付いていてよく見えるからなのか。
「鳥さん、ごめんね」
「お正月の切り花にするまでは、何としても赤い実を木につけておきたい。お正月過ぎたら、ネットは外すので待ってね」
お正月までは、ちょっと窮屈そうな千両の姿です。
また千両は万両のように、勝手にあちこち芽が出るなんてことはないですね。
増やしたいなら、株分けか挿し木が必要です。剪定はお正月の切り花にして、さらに鳥が実を食べた後、軽く形を整える剪定をするだけです。
ちなみに旦那は、千両と万両の見分けをする時 「上向きの実が千両、下向きの実が万両」
と覚えています。なので実がない時や違う場所での見分けは?難しそうです。
十 両
ヤブコウジとの出会いは、秋の山歩きをしていた時のこと。
落ち葉に埋もれるように赤い小さな実が、ぽつんと付いていました。その小ささが可愛くて、そっと1株掘り起こしてもらって帰りました。
山で見た時は日陰に生えていたので、足元がほぼ日陰になるカキの木の下に植え込み、10年以上は軽く経っているでしょう。
今年もポツンポツンと赤い実を付けてくれています。
木といっても本当に小さいので、普段は全く目立ちません。花も、今まで一度も見たことがありません。なにせこの12月にしか、しっかりと姿を見ることがないんです。
地下茎で少し増えたのか、2~3箇所で実が付いています。小さな鉢植えにして飾ることもできますが、私はそっと眺めるだけです。
環境さえ合えば、何もせず忘れていても毎年赤い実を見せてくれます。
まとめ
庭で育てている(育っている?)万両 千両 十両は、三つ共縁起の良い植物です。あまり手がかからず、病害虫も気になりません。
そして赤い実は、冬の寂しい庭に鮮やかな色合いを添えてくれるし、常緑の葉とのコントラストが美しい。日本人の美意識に合うのでしょうか。
冬の和風の庭に、自然な雰囲気を感じさせてくれる植物たち。 自分で育てた縁起の良い植物を飾って、お正月を迎えるのもいいですよ。