常緑ヤマボウシを庭植えにしていますが、春には白い花を咲かせ、秋になると丸くて赤い実がなります。一年中葉が茂り、大きくなり過ぎないので、お気に入りの樹木です。
この常緑ヤマボウシの白い花が終わる頃、花を眺めながら思いました。
「この花が増やせたら、いいだろうな」
タネを蒔いたら発芽するでしょうが、大きくなるまでに相当の年月がかかりそうです。
タネから育てるよりも、揷し木の方が早く大きくなるような気がします。そこで思い切って揷し木に挑戦してみることにしました。
もくじ
常緑ヤマボウシの揷し木(6月)
さあ揷し木をしましょうと思っても、樹木を挿し木した経験は多くありません。
みなさんどうやって挿し木しているのかと思い、ネットで調べてみましたが、常緑ヤマボウシの記事自体があまり多いとは言えない状況でした。
ましてや挿し木となると、ほとんど目にすることができませんでした。
そんな情報が少ない中、どこで見たのか忘れてしまいましたが、
『常緑ヤマボウシの挿し木は難しく、家庭でする時は密封挿しにすると発根率が上がる』という旨の文章を見つけました。
「密封挿し?」
今までやったことがありません。でも新たなことに挑戦するのは、面白そうです。そこで密封挿しに挑戦してみることにしました。
密封挿しとは
通常の挿し木で発根させにくい時に、ビニール袋やペットボトルなどで覆って行う揷し木の方法。
葉の蒸散作用が盛んな状態では、挿し穂の葉が萎れが起こるかどうかが成功するかしないかの分かれ道になるようです。
密封挿しは、湿度を極限まであげて葉の萎れがおきないようにして、成功率を高めようという方法みたいでね。
常緑ヤマボウシは、多湿でもOKなのでしょう。
常緑ヤマボウシの揷し木
① 常緑ヤマボウシの木から、今年伸びた新しい枝を5本切り取る。
② 葉っぱを2枚だけ残し、それぞれの葉を二分の一から三分の一に切り詰める。
③ 切り口をキレイにする為挿し穂を8cmぐらいの長さにカッターでスパッと切っておく。
④ 1時間程度挿し穂を水につけておく。
⑤ 揷し木用土(バーミキュライトに鹿沼土を重ねたもの)に割り箸で穴を開けて挿し穂を入れ、そっと押さえる。
※ ①〜⑥ のやり方は、通常の揷し木と同様。
⑦ 鉢を覆えるサイズのビニール袋を用意する
⑧ 鉢にタップリ吸水させた後、ビニール袋を被せて密封する。
私は、鉢にビニール袋をワイヤーで固定する方法でやってみましたが、鉢ごとビニール袋で覆ったり、ペットボトルに入れても良いようです。
揷し木の管理(6月〜10月)
6月下旬常緑ヤマボウシの密封挿しができました。置き場所はどこにしましょう。
通常の揷し木をした時は半日陰に置くので、今回も同じように半日陰に置いてみました。揷し木をして1日も経つとビニール袋の中が、水蒸気で曇り水滴も付いています。
「こんなに湿度が高くて、カビたりしないのかな」
そんな不安を感じながらも様子をみていましたが、1週間経っても状況は変わりません。
「水遣りはいつ遣ればいいのだろう?」土も乾燥はしていませんがタイミングが分かりません。仕方ないので、早め早めに水を切らさないように、スプレーで1週間に一度水やりをすることに決めました。
梅雨が明けると、毎日30度以上の日が続きます。揷し木苗にとっては、過酷な環境です。
半日陰に置いていましたが、まだ日差しが強すぎる気がして、もっと日陰(千両と風知草の陰)に移動しました。
<風知草の右に少し見えるのが、常緑ヤマボウシの密封挿し>
8月上旬、新芽が出てきました。頑張って生きようといてくれています。
9月中旬、そっと苗を引っ張ってみましたが、まだ軽い感じで根は出ていないようでした。2ヶ月経っても、新芽も少し大きくなり緑色を保っています。
湿度が高いとカビてダメになってしまうのではないかと心配しましたが、その点は全くの取り越し苦労だと分かりました。
常緑ヤマボウシの鉢上げ
10月中旬、揷し木から約4ヶ月が経ちました。気温も下がり秋らしくなってきて、常緑ヤマボウシも、赤い実をつけています。
そろそろ根が出た頃ではないかと思い揷し木の状態を確認してみました。5本揷し木にしましたが、5本ともまだ生き残っています。その内新芽が出ているのが、4本。残りの1本は、新芽が出ていませんでした。
1本をそっと引っ張ってみると、抵抗感がありました。思い切って掘ってみると…
「発根してる!」
さらにもう1本も発根しています。残りの3本は、まだ発根していないようです。
そこで2本の苗は、鉢に植え替えをしました。
何はともあれ無事発根してくれたことが、嬉しい!
徐々に日向に移動して、水切れに注意するなど発根した後の管理を怠らないようにします。これからが勝負ですね。
常緑ヤマボウシの成長は、ゆっくりとしたものです。木が大きくなり花が咲くまでは、長い年月がかかりそうですが、気長に育てていきたいと思います。
残りの発根していない3本は、密封挿しを継続。これから発根する可能性は低いかもしれませんが、苗が元気なうちは諦めずに見守るつもりです。
今回の最大の収穫は、常緑ヤマボウシは密封挿しで揷し木ができるとわかったことです。
秋に鉢上げをしましたが、このタイミングで良かったのかどうか。常緑ヤマボウシの揷し木は初めてで、わからない事ばかりでした。
今度は揷し木苗を大きくすることに、引き続き挑戦して行くことにします。
その後の経過は常緑ヤマボウシを挿し木して3年をご覧ください。
常緑ヤマボウシを庭のシンボルツリーに(常緑ヤマボウシの育て方)も書いていますのでご覧ください。