バラは園芸雑誌に特集が組まれるほど、いつも人気です。私も何度か育ててみたのですが、ムシがついたり、いつの間にか花が咲かなくなって樹勢が弱ったりしました。
上手くいかないので、「バラは、私には向かないんだ」と思い、ついには栽培を諦めました。
ところが知り合いが育てているバラは、ムシもつかず元気に育っていて手もかからないらしいのです。そんな育て易いバラがあるなら、ぜひ育ててみたい。
そこで、無理を言って貰ったバラで挿し木をしてみることにしました。
もくじ
バラとの出会い
植物好きの知人と話していると、今育てているバラは、何度かの引越しによる植え替えにも順応して、ムシもつかず元気に育っていらしい。
しかもバラの苗は、8月の暑い頃見切り品で安くなっていたもので、他に買う人がいないから可哀相になって購入したという話。
「むむ。この話どこかで聞いたような気がする」
「そうだ!」
ポールスミザーさんの講演会で聞いたのを思い出しました。
バラを買うなら、8月の暑い頃店頭で元気にしている苗を買うと、環境にあった強いバラが手に入るというもの。
「ポールさんの話と一緒だ」
バラと言えば、珍しい花や自分の好きな花を植えたいと思うのが主流でしょうが、私は庭の環境に合う丈夫なバラを手に入れたいと思っていました。
「このバラなら今までバラを育てられなかった私でも、育てられるかもしれない」
そう思うと、なんだかやる気が出て来ました。無理を言って枝を2本もらい、やったことがないバラの挿し木に初挑戦です。
初めての挿し木
挿し木用土の準備
バラの種類もよく分かりません。つるバラや原種系のバラではなく、木立性のバラで、花色はピンク。
なにせ初めてのことで、挿し木用土は何を使ったら良いのかさえわかりません。
1種類の土で挿して全部失敗したら、目も当てられないので、どれかの挿し木が成功するようにと考え、3種類の土に挿してみることにしました。
<3種類の土>
① 市販の挿し芽用土
② 赤玉土
③ パーライトとピートモスの混合用土
ビニールポットの底には、根が絡んでもそのまま植え替えられるように、穴を開けた新聞紙を入れます。そして、3種類の土をそれぞれ入れておきます。
挿し穂の準備と挿し木
貰った枝は2本。ここから6本の挿し穂を取りました。
- 柔らかい先端部分は切り取り、挿し穂6本に分ける。
- トゲは切り取り、葉は2~3枚だけ残す。
- ハサミで切った切り口は、再度清潔なカッターで斜めに切る。
- 挿し穂は1時間ぐらい水につけ、しっかり水分を吸収させておく。
- 用意したポットに割り箸で挿し穂が入る大きさの穴を開ける。
- 切り口を痛めないようにそっと土に差し込む。
- 真っすぐ立てて、ぐらつかないように土を押さえておく。
- 優しく水をかけ、半日陰で管理する。
こうして5月下旬バラを3ポットに2本づつ、合計6本挿し木しました。
挿し木から8週間後までの経過
[5週間後]
① 挿し芽用土
市販の挿し芽用土に挿したバラは、2週間たった頃完全に葉が落ちて、5週間後には黒くなって枯れていました。
② 赤玉土
5週間後1本は完全に枯れ、もう1本はまだ緑色を保っていますが、葉が落ちて下から黒くなりかけ。
③ パーライトとピートモス
2本とも緑色を保っているが、背の低い方の葉が1枚黄色くなりかけています。
[8週間後]
①も②も完全に枯れてしまいました。
③ パーライトとピートモス
なんとか緑色を保っています。背の低い方は、葉が1枚落ち、残った葉も黒っぽくなりかけています。
新芽は見られませんが、ポットの底を見ると、根が出ていて何とか生きてくれています。
3種類の土で挿し木をした結果、8週間後まで持ちこたえ発根したのは、2本のみ。
挿し芽用土と赤玉土では失敗してしまいました。挿し芽用土は、水はけが悪いように感じたので、排水の良い土を混ぜた方が良かったかもしれません。
バラの挿し木は初めてで、挿し穂の状態も均一ではありません。バラがどの土との相性がいいかは、まだまだ判断できませんね。
バラの鉢上げと経過
7月下旬の鉢上げ
7月下旬挿し木から8週間たち、ポットの底から根も出てきています。挿し木用の土では栄養分がなので、植え替えが必要な頃です。そこで暑い時期ですが、バラの鉢上げをしました。
使用した鉢は、スリット鉢5号。スリット鉢は、根が張りやすいというメリットがあるようなので、初めて使ってみることにしました。
使用した土は、環境を大きく変えない方が良いと思ったので、赤玉土とパーライト、ピートモスを混ぜたもの。
根を極力痛めないようにしたいので、2本一緒のままの植え替えです。
水をたっぷりあげたら、しばらくの間は半日陰で管理します。その後日向に出そうと思っていますが、35℃を超える日が続いているので、いつのことになりますやら。
2週間後少し黒っぽくなっていた葉は、黄色くなって落葉してしまいました。「これは失敗してしまったか?」
暑い時期の鉢上げがいけなかったのでしょうか。残念な気持ちのまま、しばらく様子を見ていますが、挿し穂は2本とも葉がない状態で、茎は緑色を保ったまま変化がありません。
「茎が黒くなっていないので、まだ枯れてはいないのか。もし生きているなら、根は落ち着いた頃かな?」
鉢の土は栄養分がない状態なので、堆肥をそっと土の上に置いてみました。
発根してくれた挿し穂2本。このまま枯れてしまうのか。この夏の暑さを乗り切れるのか。正念場を迎えています。
今はジタバタしないで、見守るしかなさそうです。挿し木の成否は、秋にはハッキリするでしょう。バラの挿し木は、そう簡単にはいきそうにありませんね。
9月中旬小さな芽が…
9月に入り、小さい方の挿し穂は真っ黒になり枯れてしまいました。それでも、まだ1本残っているので、毎日挿し穂を眺めるのが朝の日課です。
9月中旬になると、変化が出てきました。節のあたりがふっくらとしています。
2~3日すると小さな芽が伸び始めました。
「生きてたんだ!」
最後の1本は何とか生き延びて、成長しようと頑張っていたんですね。それはもう大感激です。小さな葉っぱが伸びてきました。
夏の間は、ずっと半日陰で耐えてくれました。これからは日向に置いて、冬までの間にシッカリと根を張らせたい。生き残った1本を大切に育てようと、改めて思っています。