大好きな女優樹木希林さんが、妻役で出演している映画『モリのいる場所』が公開されました。
主人公が30年間庭から1歩も外に出なかったという事実や自然との触れ合い、夫を支え続けた妻の姿を確かめたくて、早速観に行ってきました。
もくじ
樹木希林さんのこと
映画について書く前に、まずは樹木希林さんについて思ったことを書いてみます。
女優さんの中で一人だけ好きな人を挙げるとすれば、それは間違いなく樹木希林さんです。
なぜ好きなのかと考えてみると、あの人に媚びない自由な雰囲気や、自然体で生きているような所に惹かれます。
いつものように立ち読みをしていた本屋で、婦人公論の表紙が目に入りました。柔らかい微笑みを投げかける樹木希林さんの姿です。表紙の写真は、何とノーメイク。
「ありのままの皮膚感が出ていいんじゃないかと思って」とあくまで自然体です。
さっそく中をみると、ありのままでと言う樹木希林さんの文章と出会いました。
洋服に関しては若い頃と違って新たなものは買わず、ものを整理して減らしながら、使えるものは生かしていく考えだとか。
人生の先輩であり、ガンと共存しながらも仕事を続ける姿に、共感できることがいっぱい。
そんな樹木希林さんが『モリのいる場所』に画家熊谷守一の妻役で出演していると書かれています。
守一は、足が悪くなり、亡くなるまでの30年間、庭から1歩も外に出ず、庭の植物や生き物たちを観察し続けたそうです。
これは、もう観に行くしかありません。
なぜって、植物大好きの私は、自然を愛する守一と守一を支える妻役の希林さんに会いたくなったから。
本屋で立ち読みしていましたが、今回は樹木希林さんの文章をもっとゆっくり読みたくなって、婦人公論は買って帰りました。
映画『モリのいる場所』
5月19日、公開初日に映画を観に行きました。
土曜日で映画館の人出は多かったのですが、モリのいる場所の客層は中高年が中心。座席は半分ぐらい埋まっていました。
映画のあらすじ
展覧会場。
守一の絵の前で昭和天皇が 「これは、何歳の子供が描いた絵ですか」と質問するところから映画が始まります。
1974年(昭和49年)守一94歳、妻秀子76歳のある夏の1日。
守一は、草木が生い茂り虫や鳥などの生き物の宝庫である庭に出かけ、虫や蝶、魚や石などをじっくりと観察する。
時には、地面に寝そべったり、じっと動かず手の中の石を眺めたり。
その間秀子は、美恵ちゃん(守一の姪)と家事をしたり、途切れることのない来客の相手をしたりと忙しい。
熊谷家の人と家にやって来た人達のやりとりが繰り広げられて行きます。
ツイッターのコメント
5月19日公開ですが、ツイッターにはたくさんのコメントが出ていましたので、いくつか紹介します。
『モリのいる場所』初日舞台挨拶、最前列で沖田監督樹木希林さん池谷のぶえさんのお話をじっくりうかがえた至福の時。映画もまた熊谷守一の世界にどっぷり浸かれたあっという間の一時。ご夫婦の佇まいが本当に愛情深い。人とも自然とも距離が近い素敵な出会いのモリの庭だった。 水戸で二度目をみよう pic.twitter.com/uUImX2IVu5
— Ayako Kobune (@ayakobune) 2018年5月19日
映画「モリのいる場所」 熊谷守一の90歳代の一日を虚飾を排し温かみと控えめなユーモアで描いた静かで熱い優品。主役二人の年輪から自然と滲み出る凛とした佇まいと存在としてのおかしみは、胸に深く留まる奥深さ。 「下手も絵のうち」は熊谷夫妻の生き様をも表した監督が映画に込めた強い思いだろう。 pic.twitter.com/7U7np1VkAx
— otani_gachapin (@GachapinOtani) 2018年5月19日
映画『モリのいる場所』鑑賞。 沖田監督だから間違いないと思っていたらそれを遥かに上回る面白さだった。山崎努さんと樹木希林お二方の自然過ぎて面白くほっこりとした夫婦に癒されて、ドキュメンタリー映画の人生フルーツのご夫妻を思い出した。劇場内で何度か笑いが起きていたほど。満足! pic.twitter.com/KNLcrftT6Y
— 193 (@193_himajin) 2018年5月19日
映画を観て思うこと
30年間庭から外に出たことがないとは、何と変人で人付き合いが嫌いな人かと想像していたら、出だしから裏切られました。
想像とは真逆で、たくさんの人が出入りする賑やかな熊谷家でした。時々コメディっぽい笑いも挟まれます。
そして、モリが見つめる庭の小さな生き物を、モリの視線で見つめているような映像が散りばめられています。
植物好きの私には、たまらない感じ。
二人が何気無く漏らす言葉も、とても印象的でした。
特に1番印象に残ったのは、マンションのオーナーが塀に掛かった建築反対の看板の抗議に来た時呟いた 秀子のひと言。
「あの庭は、主人のすべてやからね」
30年間庭から外に出ない生活を認め、支えているからこその一言です。
秀子が守一を深く思いやっているのがわかります。
昭和の建物やブラウン管テレビに黒電話。そして豊かな庭の様子と日々の生活。
見終わった後も静かな余韻が続きます。
今回初めて、55歳以上割引を使って1100円で観た記念すべき作品となりました(今まで年齢割引があるのを知らず、1100円になるサービス日にだけ行っていたので)。
植物好きの方は、動植物への優しい視線を感じるでしょう。守一と秀子の互いを思いやる関係もいいですね。
世間体にとらわれず、こんな自由な生き方もできるんだと教えてもらったステキな映画です。