3月終わりから4月初め、私が住む瀬戸内海沿岸地域の一角では桜の時期です。それと同時に山ではツツジが満開になります。
桜の時期に咲いているのは、コバノミツバツツジです。
ピンク色の花が枝全体に咲き誇り、それはそれは綺麗です。
ミツバツツジだと思っていた花が、実はコバノミツバツツジだったので、どんな植物なのか、ミツバツツジとどんな違いがあるのか調べてみました。
もくじ
コバノミツバツツジとミツバツツジの違い
ツツジ科ツツジ属は、日本では40数種が自生するとされ、シャクナゲやサツキ、ツツジなど馴染みがある花があります。
そんなツツジ属の中にミツバツツジとコバノミツバツツジも入っています。
ミツバツツジの名前は知っていたのですが、コバノミツバツツジという植物名は知りませんでした。
ツツジについて調べるうちに、ミツバツツジとコバノミツバツツジには違いがあることがわかってきました。
そこで自分なりに、その違いをまとめてみました。
ミツバツツジ | コバノミツバツツジ | |
科 | ツツジ科 落葉低木 | ツツジ科 落葉低木 |
分布 | 関東〜近畿の太平洋側 | 中部地方以西〜九州 |
樹高 | 2~4m | 2~4m |
花色 | 枝先に2~3個の淡紅紫色の 花をつける |
枝先に1~2個の紅紫色〜淡紫色の花をつける |
花期 | 4~5月 | 3~4月 |
花びら | 直径3~4.5cmのろうと型で5裂 上側の裂片に斑点はない |
直径3~4.5cmのろうと型で5裂 上側の裂片に濃い色の斑点がある |
雄しべ | 5本 | 10本 |
葉 | 枝元に3枚が輪生 花が終わってから葉が出る |
枝元に3枚が輪生 花が終わってから又は同時に出る |
ミツバツツジ は、枝先に三枚の葉がつくことからつけられた名前。コバノミツバツツジの名前は、ミツバツツジより葉が小さいことに由来します。
<コバノミツバツツジの葉>
遠くから花を見ただけでは、区別できません。葉っぱの大きさで比べるのも、2つの葉っぱが揃わないと、難しそうです。
こうしてみると、違いを見極めるポイントは、
雄しべの数の違いと花びらの斑点の有無。花が咲いているときに限られますが、これだと分かり易いですね。
<コバノミツバツツジ>
コバノミツバツツジが満開
桜が咲く頃になると、訪ねたくなる場所があります。それはツツジが咲いてピンク色に染まった場所です。
子供の頃、祖母に連れられ近所の人たちと一緒に、近くの岩山に花見に出かけました。そこには、ピンク色のツツジが咲いていました。葉っぱが出る前に花が咲くので、ツツジの木全体がピンク色。
みんなは、山に咲くからヤマツツジと呼んでいました。当時は、桜の花より身近なツツジの花で花見をしていたのかもしれません。
それ以来、この花が咲くと春の訪れを感じます。
時が経ち大人になって、あのツツジはミツバツツジだと聞いたのですが、正しくはコバノミツバツツジだったわけです。
近くの岩山は、今では整備され住宅街になっています。そこで、別の里山にあるコバノミツバツツジに今年も会いに行きました。
ツツジは、雑木林の端の日当たりの良い場所に生えています。
花が枝先に咲きそろい、全体が濃いピンク色になって見事です。ヒッソリとした目につきにくい場所で訪れる人もあまりいません。私にとっては、お気に入りの秘密にしておきたいような場所なんです。
足元を見ると、コナラに似た樹木と根がからむように育ったようで、両方の幹が混在したようになっています。
高さも3mは超えていそうです。周りにも何本かのコバノミツバツツジがあり、山の芽吹きの黄緑色の中に、華やかな彩りを放っていました。
(コバノ)ミツバツツジで和風の自然な庭作り
花見で見た、春一番に山で咲くツツジを庭に植えたくて、植木市で苗を買ってきたのが、4年前の4月。ちょうどピンク色の花が咲いていました。
家の中から花見ができるように、花壇のシマトネリコの前に植えました。隣には、シロヤマブキがあります。朝日が当たり、少し木の陰になる所です。
これで自然な野山の雰囲気を出せると思ったのですが…。
その後2年続けてポツポツと花が咲いたものの、一昨年の夏の暑さと乾燥で水不足を起こしたのか、去年は春になっても芽吹かず枯れていました。残念でなりません。
我が家のツツジは枯れてしまいましたが、近所にあのツツジが見える庭があります。
1軒の庭では、門の近くに植えられ、ブロック塀の上がまさにピンク色。2m以上の高さがあり、家の中からも眺められそうです。
もう1軒の庭では、外壁の前にツツジが2~3種類植えられています。1.5mの高さで、枝を自由に伸ばした先に咲くピンク色の花が、白い壁に映えていました。
山で見たコバノミツバツツジは、花が咲き進み葉っぱも出かけていましたが、2軒のお庭のツツジは今が花盛り。
写真を撮らせてもらって帰り、花を調べました。写真をよく見ると、花には斑点があり雄しべも10本ありそうです。
ミツバツツジとコバノミツバツツジの違いを整理した結果、2軒の庭で見た花は、両方ともコバノミツバツツジだとわかりました。地域に自生するコバノミツバツツジは、庭でも育ちやすいようです。
そして、改めて我が家に植えたツツジの写真を拡大して見てみると、ぼやけてハッキリしませんが、花びらに斑点がなく雄しべの数も少なそうです。
「ミツバツツジ?」
地域に自生しているツツジだと思って買ったのに、実際は違っていたのかも。自生場所が違うから、瀬戸内海沿岸の気候には合わなかったのでしょうか。
「なんでことだ。知らなかった!」苗を選ぶ時に、知っていれば…。
でも、近所の庭でコバノミツバツツジが綺麗な花を咲かせているんだから、我が家でもその自然な魅力的姿が見られるかも。
そう思ったら、再挑戦でコバノミツバツツジを植えて、花見がしたくなって来ました。今度は、夏の暑さと乾燥に気をつけて育てようかな。
冬は完全に落葉してしまうので、常緑の樹木と組み合わせたり、草花と組み合わせたら、和風の自然な庭作りに貢献してくれそうです。