タンポポと言えば、春の花としてすぐ思い起こせるほど、よく知られています。
そのタンポポには、外来種と在来種、さらには黄色と白色があるのを知っていますか。
白花があるのは何となく知っていたのですが、在来種と外来種はどう違うのか、身近な所に生えているのか、色々なことが気になり始めました。
そこで、家の近くでタンポポを探してみました。
ニホンタンポポを探そうと思ったきっかけ
ネットで、何気なく見ていたウエザーニュース(2018年3月26日)に、タンポポの知られざる秘密として、セイヨウタンポポとニホンタンポポの違いが紹介されていました。
その時は、「タンポポにも外来種と在来種があるんだ」ぐらいの感想でした。
さらに、4月8日の記事は、『西日本では常識?日本には古くから白いタンポポがあった』の見出し。
2018年3月23日実施 6316人回答
ウェザーニュースでは、見たことのあるタンポポの花の色について調査。
黄色のみ、白色のみ、黄色と白色、その他の4つの選択肢で回答して頂きました。
79%は黄色しか見たことないと回答する一方、20%は白色を見たことあると答えていました。
エリアごとに見てみると、西日本の方が多い傾向にありました。
そう言えば、白いタンポポがあると聞いたことを思い出しました。
西日本在住の私としては、「ちょっと面白そう。タンポポを探してみようかな」
まるで植物探偵気取りで、やる気が出てきたと言うわけです。
ニホンタンポポ(白色)探し
黄色いタンポポと白いタンポポ。どちらから探しましょうか。
在来種のタンポポにはカンサイタンポポ、カントウタンポポ、シロバナタンポポなど、およそ類20種類以上あります。
この中で、シロバナタンポポは本州関東以西、四国、九州に分布し、西の方ほど多いようです。
まず白いタンポポは、在来種のニホンタンポポだということ。探す時に見つけやすいのは、色に違いがある白タンポポだと思い、まずは白いタンポポから探すことにしました。
ニホンタンポポが好むのは、一般の草花の成育に適した弱酸性の土壌で、里山や 農道など人間が昔からの暮らしを営んでいる場所。
家の近く5km圏内に的を絞り、まずは近所の空き地や草はらを探してみることに…。
今まで、気にせず通っていた場所も、じっくりと眺めます。すると団地に向かう長い階段を登りきった先の空き地に、丸く白っぽい花を見つけました。
近づいてみると、それは白いタンポポでした。
「見つけた。こんなに近くにあるなんて!」
何度も通っていた所ですが、風景として見ていただけで、タンポポには全く気づいていませんでした。
ぐるっと周りを見渡してみたら、ヨモギなどの背の低い草の中に、点々と白いタンポポの株が20ぐらい。(黄色いタンポポは、見当たりません。)白いタンポポの小さな群生です。
花が終わりに近いのか、綿毛が沢山出来ていました。
いつもの風景でしかなかった所が、急にスゴク貴重な場所に思えてきました。全く勝手なものです。
花色が白いから、ニホンタンポポに間違いなさそうです。ただシロバナの種類もいくつかあるようなので、シロバナタンポポかどうかは、はっきりしません。
<白いタンポポの綿毛>
それでも自分の身近に、ニホンタンポポが育っているのは、素直に嬉しいものです。
後日道路脇の植え込みの中で、1株の白いタンポポを見つけました。その周りには、セイヨウタンポポと思われる黄色いタンポポも咲いていました。
交通量の多い大きな道路沿いですが、結構たくましいですね。
白いタンポポは、身の回りに沢山生えている植物ではなさそうですが、偶然見つけることが出来てラッキーでした。
ニホンタンポポ(黄色)探し
さて次は、黄色いタンポポを探します。
ニホンタンポポとセイヨウタンポポを見分けるポイントは、黄色い花びらの下の部分総包(そうほう)の形を比べることだそうです。
セイヨウタンポポ → 総包片(そうほうへん)が反り返る
ニホンタンポポ → 総包片が反り返らない
比べた図を見ると、確かに違いがよく分かります。
さらにセイヨウタンポポは、弱アルカリ性の土壌で有機物が少なく、乾燥した所を好むようです。
この2点を頭に入れて街中を歩いてみると、道路の端のコンクリートの割れ目に、黄色いタンポポが生えているのを度々見かけました。
花びらの下、総包を覗き込んで見ると、反り返っています。
「なるほど。これがセイヨウタンポポか」
どうやら、アルカリ性のコンクリートの割れ目は、お気に入りのようです。
道路沿いを歩いていると、タンポポは見つかるのですが、どうもセイヨウタンポポばかりのようです。
ニホンタンポポは、もっと有機物に富んだ弱酸性の土壌を好むのだから、全く別の場所でないと出会えないと思いました。
そこで公園のような場所で、昔からあまり変わっていない自然な所は?と考えた時、1箇所思いつきました。
「そうだ。城跡公園に行ってみよう」
行ってみたら、他の草が生えている中に、ポツンポツンと黄色いタンポポが見えます。(白いタンポポは、見当たりません。)
そっと近づいて、花びらの下を覗き込みます。
<クスノキの根元に生えたタンポポ>
「これ、反り返ってないよね」
ニホンタンポポかもしれないという期待で、次々と覗き込みます。
「やっぱり反り返っていない。こんなところに生えているんだ」
城跡公園の草はらを、あちこち調べてみたら、見た範囲はほとんどニホンタンポポのようでした。
その中で、1箇所だけセイヨウタンポポとニホンタンポポが並んで生えている場所を見つけました。
<左:セイヨウタンポポ 右:ニホンタンポポ>
ニホンタンポポと思える花は、全体的に少し華奢な感じがしますが、花と葉を見ただけでは、ほとんど区別がつきません。
今回初めて、セイヨウタンポポとニホンタンポポを見比べてみました。
お互い住みたい所が、少し異なって、住み分けしている様にも見えました。
でも、ニホンのタンポポの8割以上が、外来種かセイヨウタンポポとニホンタンポポの雑種とも言われているようですね。
ニホンタンポポが好む場所は、これからも残っていくでしょうか。白いタンポポを見つけた、あの草はらも残って欲しいけど…。
タンポポは、去年も一昨年も同じ場所で生えていたのでしょう。それに気付かなかったのは私ですが、この春に初めて、ニホンタンポポ(白色と黄色)と出会えました。
ニホンタンポポ探しの数日は、しゃがみ込んで、覗き込んでの連続。周りから見たら、変なおばさんに見えたことは、間違いなさそうです。
でも、そのお陰で、タンポポがグッと身近な植物に思えてきました。
これからも、タンポポの花を見つけたら、見分けがしたくて、思わず覗き込んでしまいそう。春の楽しみ方が、またひとつ増えたようです。