ヒイラギナンテン の黄色い花が咲き始めました。花はあまり目立たず、ひっそりと咲いています。花に気づかずに、通り過ぎてしまうこともありそうです。
でも縁起がよく、手もかからず和風の庭にはオススメです。そんな自然な庭に似合うヒイラギナンテン を紹介します。
もくじ
ヒイラギナンテン の一年
中国原産で江戸時代に日本にやって来たヒイラギナンテン 。
ヒイラギの葉にはトゲがあり、触ると痛いので鬼も近寄らないと言われ、邪鬼の侵入を防ぎます。そしてナンテンは、難を転じると言われ縁起が良い木です。
このため、ヒイラギとナンテンを併せた名前のヒイラギナンテン は、魔除けと来福の目出度い樹木で、風水では鬼門に植えると良いと言われています。
何とも、いいとこ取りの名前ですね。
それでは、ヒイラギナンテン の一年の変化を見てみましょう。
春
2月
ヒイラギナンテン の紅葉した葉の付け根では、長い花穂に小さな蕾がたくさん付き、もうすぐやってくる春を待っています。
3月
小さかった蕾は少しづつ大きくなり、クリーム色がかった黄色になってきました。3月中旬いよいよ開花。花が付根から先端に向かって、少しづつ開き始め4月頃まで花を楽しめます。
一つの花は7mmほどの大きさで、中心の太い雌しべの周りに6個の雄しべがあります。
この雄しべは、昆虫などが触れる刺激で内側に動きます。どうやら花粉を付けやすくしているようです。
なるほど。触ったら本当に動くかな?と気になって爪楊枝で雄しべを触ってみました。
「あっ、動いた」
雄しべが中心に向かって動きました。面白い性質ですね。虫たちがやって来たら、日々こんなことが繰り返されているんですね。
ヒイラギナンテンの花は、いい香りがします。
あるお宅の前を通りかかった時に、甘い香りがしました。何の花だろうと思って周りを見渡すと、玄関前の階段の両脇にヒイラギナンテン がズラッと植えられていたんです。
その時初めて、ヒイラギナンテン の香りを知りました。でも我が家のヒイラギナンテン では、甘い香りを感じたことがありません。数が少ないからでしょうか。
夏
初夏になると、小さな花がそれぞれ熟して、黒青色で粉をふいたような実を沢山付けます。
実はあまり目立ちませんが、常緑のトゲのある葉っぱは光沢がありきれいです。
秋〜冬
常緑の葉は落葉しませんが、気温が下がってくると葉の色が赤褐色に変化して紅葉しているように見えます。冬枯れの景色の中で葉色は映えます。
こうしてみると、放射線状に広げた葉を一年間を通して繁らせているので、植えた場所が寂しくありません。
葉を主に眺めますが、春の花と初夏の実も季節を感じさせてくれますね。
育て方で気をつける点
常緑低木で大きくなっても、1.5~2mぐらい。
病害虫の心配はほとんどありません。一度地植えにしたら一年中緑を提供してくれ、出しゃばらず庭の自然な雰囲気を作ってくれます。
成長もゆっくりなので、手間をかけずに樹木を育てたい時に、ピッタリな木です。
ヒイラギナンテン を植えて10年は経っていますが、今まで剪定したことも、虫がついたり病気になったこともありません。
存在していることを忘れるぐらい、すっかり庭の一部として馴染んでいます。
そうは言っても、少しだけ気をつける点を書いてみます。
耐暑性はありますが少し寒さに弱い所があるので、東北以南での庭植えに向きます。北海道や東北地方では、屋外での冬越しが難しいようです。
強い光に当たると葉っぱの色が抜け落ち、黄色になってしまうので、西日が当たる場所は避けます。日陰では、徒長して葉の色が悪くなってしまうので、日なた〜半日陰に植えましょう。
根が傷つくと生育不良を起こすので移植が難しいようです。さらにトゲがあるので、通る時に葉っぱが体に当たるような場所は避けたいものです。
庭植えにする時は、植える場所を慎重に選ぶことが大切ですね。
植える場所などをちょっと気をつけるだけで、植えた後は手をかけずとも、元気に育ってくれていますよ。