屋久島の垂直分布で出会った植物たち




屋久島に行ってきました。

1日だけの滞在でしたが、ガイドさんの案内で屋久杉を眺め、屋久島の偉大な自然のほんの一部に触れることができました。

残念なのが屋久島についての知識がないまま、行って来たこと。それだけが悔やまれます。事前に山や植物のことを調べていたら、同じものを見ても、もっとたくさんのことがわかっただろうに…。

 

そこで、せっかく行った屋久島の1日を忘れないように植物を中心に、ガイドさんに聞いた話も含めてまとめてみました。

 



屋久島の垂直分布とは何?

 

2017年7月20日屋久島宮之浦港に到着。

屋久島は、鹿児島県熊毛郡屋久島町と表記されるように、鹿児島の南60kmに位置する島。東西が約28km、南北が約24kmの円形に近い形をしており、広さは東京23区と同じくらいだとか。

島に上陸すると、海岸線沿いに集落があり、その後方には緑豊かな山々が連なっていました。1日のバスツアーに参加しましたがガイドさんの話では、麓から見える山々は前岳と呼ばれ、1000mに近い山でも名前が付いていない山が多いのだとか。

 

「それでは、あの宮之浦岳はどうなるの?」と思ったら説明が続きました。「麓から見えない山々は、奥岳と呼ばれており宮之浦岳は1936mで九州最高峰の山です。さらに九州で標高の高い山上位7位までが屋久島にかたまっているんです。」

 

「そんなに高い山が多いんだ。ぜひ見てみたい。」と思ったのですが

 

宮之浦岳を見るには、遠く離れて海上から見るか、グッと近づいて登山して見るしかないようです。

 

縄文杉を見ようと思ったら、徒歩で登山口から往復10時間以上かかり、宮之浦岳に行こうと思えばもっと時間と体力が必要らしい。

1日の滞在では、時間的も体力も縄文杉までは無理なことがよ〜くわかりました。

 

屋久島の麓では、平均気温が20℃近くあり亜熱帯気候でブーゲンビリアなど熱帯の花が咲いているのに対して宮之浦岳の山頂は冬には雪が降る亜寒帯に近い気候。

 

一つの島に日本全土の気候(亜熱帯から亜寒帯までの気候)があり、いろんな気候帯の植物が見られます。これは、植生の垂直分布と呼ばれ、屋久島が世界自然遺産に選ばれた理由の一つのようです。

 

今回は、ヤクスギランド(1000m)で森林浴をし、0mから1000mまでの垂直分布を体感することができました。

 



ヤクスギランド(標高1000m)の植物

 

屋久杉

 

前日は、バケツをひっくり返したような雨が降ったとのことでしたが、20日は曇り模様。ヤクスギランド入り口に降り立つと気温20℃くらいで過ごしやすい。

 

 

 

休憩所の前にある電話ボックスは、屋久杉をくり抜いて1億円で作られたとか。なんとも贅沢な電話ボックスです。

 

森の中に入ると、樹高20mを超えるような屋久杉が、天に向かってそびえ立ち、樹々の隙間から空がのぞいています。

 

地元では、樹齢1000年を超える杉を「 屋久杉」と呼び、1000年に満たない杉は「小杉」と呼ばれるそうです。

なんともスケールが大きい!

 

そしてヤクスギランドには、大量の雨で苔が生えています。雨上がりには苔に水滴がつき、キラキラと輝く。これを水蛍(ミズボタル)と呼ぶそうです。

ミズボタルとは、きれいなひびきの名前ですね。

 

さらに遊歩道を歩いていると、伐採された屋久杉が倒れています。江戸時代に伐採され200~300年経っているようですが、樹脂を多く含んでいるため現在も腐らず残っているんです。

 

この土埋木(どまいぼく)と呼ばれる倒木には、長い年月の間に苔が生え、飛んできた杉の種子がたくさん芽を出していました。

 

土埋木や切り株の上にたまたま発芽した杉が大きく成長して、次世代の森を作る。

 

地面に落ちた種子は、大量の雨で流されてしまう為、地面に直接杉は生えないらしい。杉が杉を育てて、森が循環してるんですね。

 

恐ろしいヒメシャラの話

ヒメシャラは、小さな白い花を咲かせるツバキ科の落葉高木。日本国内に自生し、屋久島の森にも生えています。

 

<真ん中に見えるのがヒメシャラ>

杉の幹が苔をまとい黒っぽい色をしているのに対して、ヒメシャラは樹皮を落とすため苔が付かず、木肌がツルンとした状態の赤っぽい色で、薄暗い森の中でもよく目立ちます。

幹周りも杉に負けないくらい大きいものもあり、光を求めて上へ上へと伸びています。

 

写真では杉とヒメシャラが仲良く寄り添っているように見えますね。ところがヒメシャラは杉に接近して、杉に光が届かないように仕向け枯らしてしまうこともあるとか…。

 

小さな花をつける愛らしいイメージが崩れて…。恐るべしヒメシャラなり。植物も常に生存競争がある現実を見た気がしました。

 



照葉樹林の植物(標高1000m以下)

 

1000mから海岸線までのぐねぐね道を通るバスの中から見た緑深い山々は、照葉樹林となっていて、シイやカシ、椿などの樹々で覆われているとのこと。

リンゴツバキが有名なようですが、花の時期ではなかったのが残念。実が大きく熟すとリンゴの実のように見えるので、その名前が付けられたそうです。

 

車道から見える位置に咲いていたのは、ヤクシマサルスベリ

屋久島や種子島に自生しているらしい。庭植えのサルスベリと言えばピンク色が多いようですが、ヤクシマサルスベリは白色。10mはありそうな高木で、花は満開でした。

 

山の斜面の足元には、シダが生い茂り、標高が低くなるにつれシダの親分のような木も生えていました。シダの大きいものは、ヘゴと呼ぶそうです。

途中ヤクシカやヤクシマザルにも出会いました。車道のすぐそばで毛づくろいをして、仲間とくつろいでいます。

 

亜熱帯気候の植物(集落で見た植物)

 

海岸沿いの集落では、ブーゲンビリア、ハイビスカスなどの色あざやかな花がたくさん咲いていました。

やっぱりここは、亜熱帯なんだと思わせる植物です。

 

ここまでは想像できたのですが、モンステラが普通に道路脇に生えているのには、驚いてしまいました。

テレビ番組の『プレバト!!』の生け花査定で假屋崎さんが、よく花器の足元に添えるあの葉っぱです。(後から調べたら、観葉植物にするモンステラの種類は、屋久島のものより小型のモンステラのようですが…。)

 

さらに観葉植物にするサトイモに似た植物も、集落や里山で見かけました。名前を調べてみると、クワズイモ。サトイモに似ているが、食べられないのでそう呼ばれているんですね。観葉植物が普通に地面に生えているなんて。

 

そしてホテルの前で初めて見たオレンジ色の花。

 

 

休憩中のバスの運転手さんに聞くと、サンダンカという名前の木で、丈夫なので生垣にも使われるそうです。

こうして標高0mから1000mまで、駆け足で回った屋久島の1日でした。初めてみる植物や植物の意外な話など地元のガイドさんならではの話が聞けて、森林浴も楽しむことができました。

宮之浦岳は結局見れませんでしたが、雨に降られることなく、屋久島の自然の雄大さの一部を垣間見た旅となりました。