もくじ
セツブンソウはどんな花
- キンポウゲ科の多年草
- 日本に自生する山野草
- 関東地方以西に分布する。
- 石灰岩地域(アルカリ性土壌)を好み、落葉樹林内の斜面にまとまって自生する。
- 草丈:5cm~15cm
- 花期は2~3月で直径2cmの白い花を咲かせる。
旧暦の節分の頃に花が咲くことから、セツブンソウと言われます。
真冬に芽を出し、節分の頃から花を咲かせ、新緑が眩しくなってくる晩春には地上部が枯れてしまいます。
セツブンソウの姿を見られるのは、わずか数ヶ月程度です。
環境省デッドデータブック準絶滅危惧種に指定されている貴重な種で、いち早く春を知らせてくれる花なんですね。
セツブンソウの自生地に行って来ました
今回バスツアーに参加して、3月3日初めてセツブンソウに会って来ました。
行ったのは、広島県庄原市総領町。セツブンソウは日本に自生する植物ですが、夏草を刈らなければ咲かない花なんだとか。
総領町は、セツブンソウが好む北向きの半日陰の斜面に沿って、農家や墓地があリます。
この為セツブンソウ自生地の夏草が刈り続けられた幸運から、現在日本有数の自生地となっているようです。
3月3日午後、曇り。山の裾野に綺麗に草を刈り込んだ場所がありました。
バスを降り、ノボリがはためく所に歩いていきます。自生地の公開場所は7箇所あるようですが、今回は今満開の場所に案内してもらいました。
総領町内でも開花は場所によって、早かったり遅かったりと差があるようです。
「どれぐらい咲いているのかな」
今年の2月は寒かったので開花が遅れていて、2月の終わり頃からやっと満開になり始め、今日案内してもらったところが、2箇所目の満開。
心配と初めて出会う期待で近づいて行きます。
先に見学されている方が、しゃがみこんで写真を撮っている様子。
もっと近づいて行くと、ぼんやりと白っぽく見えるところがあります。
「わぁ 花が咲いてる。しかも斜面一面に。すご〜い」
木の柵で囲まれた中に、たくさんのセツブンソウが咲いていました。
「これがセツブンソウなんだ」
アネモネに似た白くて小さい花です。白い花が主ですが、中には赤みがかった花もありました。
他の植物がまだ芽を出さないうちに、花を咲かせる春を告げる花です。
これだけ群生していると、ほのかな良い香りもしてきます。どんな香りかはちょっと表現しにくいのですが、咲き始めがよく香るようですよ。
総領町の花ガイドさんによれば、5枚の花びらのように見えるのは、実はがくなんだそうです。本物の花びらは、中央寄りの見える黄色いもので、一つの花に7~10枚あります。
真ん中の青紫色に見えるのが、雄しべと雌しべ。
<パンフレットに載っているセツブンソウ生態図>
セツブンソウは、タネで増えます。
タネから発芽した1年目の株が1年生と呼ばれるもの(図の中の①)。葉っぱの形が、花が咲いている時と全く違いますね。
花が咲くのは、4年生(図の中の④)と呼ばれるもの。4年間夏の草刈りや手入れをして、やっと開花です。
ガイドさんによれば、草刈りがやっぱり大変みたいです。
長年にわたり、地域の方が花を守り育てているおかげで、これだけのセツブンソウの群落を見ることができるんですね。
セツブンソウは、思ったよりも小さく可憐な花でした。そして思ったよりもたくさん群生していました。
今回初めて、総領町のセツブンソウを訪ねました。そして、セツブンソウが自生できる里山の環境や地域の方の強い思いがあってこそ、綺麗に花が咲いてくれるのだと知りました。
これからも春に、セツブンソウが見られることを楽しみにしています。